ブータンの食文化について

FOOD AND CUISINE IN KINGDOM OF BHUTAN

ブータンの食文化について

ブータンの主菜は唐辛子です

ブータンにはその独特の文化同様、食文化も独自のスタイルを保っています。

その特徴はなんといっても唐辛子(エマ)。ブータンでは唐辛子は野菜として扱われているため、唐辛子をふんだんに使った料理が多く、「世界一辛い料理」とも称されます。

主食は日本と同じく米で、全国的にこれは共通といえます。主に赤米が好まれていますが、白米も市場や商店で手に入れることができます。

ブータン旅行の際、基本的に食事は旅行代金に含まれていますので各地のホテルやレストランで食事をとることになります。その際は主にブッフェ(バイキング)形式か、料理皿が数種類運ばれてきて、米と一緒に食べるのが基本の形になります。

もちろん、最初にセッティングされている食事を断って自分でレストランや食堂を探して、地元の人たちと食べて飲んで、ということも可能です。

ティンプーやパロでは地元レストランやバー、在住外国人の経営する料理店なども多くあります。それ以外の場所では数はあまり多くありませんが、外国人向けにアレンジされていない本当の地元の郷土料理が食べられる店がありますので、興味のある方は是非トライしてみてください。

ブータンで食べられる主な料理

エマ・ダツィ

エマ・ダツィ

Migrationology / Marc Wiens

ブータンのどこでも食べることができる「国民食」ともいえる料理がエマ・ダツィ Ema Datshi。エマは唐辛子、ダツィはチーズのことで、そのまま「唐辛子のチーズ煮込み」となります。主に青唐辛子が使われ、チーズは煮込むことでとろけた状態になるので、一見ピーマンの入ったクリームシチューのように見えます。

唐辛子の辛さはチーズで多少抑えられているとはいえ、民家滞在やローカルレストランなどで食べるブータン人向けの味付けのエマ・ダツィは、日本人にとっては恐ろしく辛いこともよくあります。

ホテルのレストランなどで出されるエマ・ダツィは外国人向けにマイルドにされていることも多く、数日滞在していれば何度か食べる機会は必ずあるので、まずはこれで試してみましょう。

ケワ・ダツィとシャム・ダツィ

ケワ・ダツィ

Migrationology / Marc Wiens

ケワ Kewaとはジャガイモのことで、ケワ・ダツィはジャガイモとチーズの煮込み料理。
たっぷりのバターでソテーした薄切りのジャガイモとチーズだけのシンプルなものが多いですが、トマト入りや、エマ・ダツィのように唐辛子がやや多めに入ったものもあります。

シャム Shamuはキノコのことで、ヒマラヤで採れたキノコを食べられるのもブータンならでは。時期によっては松茸(ブータンは松茸の産地)ダツィが食べられることも。

どちらも唐辛子がメインではないので、エマ・ダツィよりはマイルドなお味。

パクシャ・パー

パクシャ・パー

Migrationology / Marc Wiens

パクシャ・パー Phaksha paaは日本人の口に非常によくあう料理で、豚肉(パクシャ)と唐辛子の煮込み料理です。

シンプルに肉と唐辛子を塩味で煮込んだ料理というのは変わりませんが、通常はこれにジャガイモや大根などの野菜を1品加えたものが多くみられます。豚肉のほか、牛肉や鶏肉、地方によってはヤクの肉が使われることもあります。

唐辛子そのものも入っているのでこれを噛んでしまうと非常に辛いですが、脂身の多い豚バラには良い具合に辛味が染み込んでいて、塩味とあいまってご飯に非常にあう料理です。

また、ベーコンのようになった脂身多めの乾燥肉を使ったシカム・パー Sikam paaもあり、寒冷地域では重要なエネルギー源となります。

モモ

モモ

Migrationology / Marc Wiens

モモ Momoはチベット文化圏で広く食べられている、餃子と肉まんの中間のような料理です。現在ではネパールでも広く普及しているためネパール料理店などで目にする機会も多くありますが、元々はチベット料理。

小麦粉で作った皮に豚、羊、ヤクなどの肉と野菜を混ぜたタネを仕込んで蒸し上げたものが一般的ですが、水餃子のようになっているものもあります。これに唐辛子ペーストや、ソースを付けて食べます。

プタ(蕎麦)とクレ(蕎麦パンケーキ)

ブータンの蕎麦、プタ そば粉のパンケーキ、クレ

Migrationology / Marc Wiens

ブムタン地方では蕎麦の栽培が行われていて、この地方の特産品として有名です。

日本のざるそばのように食べる習慣はありませんが、麺状にしたプタ Putaはパスタのように茹でた上で炒めて食べるので、塩焼きそばのような感覚。

また、クレ Khur-leというそば粉のパンケーキは朝食でよく出るメニューのひとつです。

マツタケ

ブータンではマツタケが収穫でき、主にティンプー周辺やチュゾムなどで栽培されています。

旬の時期は8月頃で、路上や市場で売られているのをよく見かけます。また、ティンプーやパロのお土産屋では乾燥マツタケが販売されているので、年中購入することは可能です。日本産のものよりは若干香りの強さが落ちますが、十分その風味は楽しむことができます。

ブータンの飲み物について

バター茶・スージャ

Migrationology / Marc Wiens

ブータンで最もメジャーな飲み物といえば、他のチベット文化圏と同じくバター茶(スージャ Suja)です。

バター茶は麹で発酵させた茶葉の固まり(団茶)を淹れ、それにヤクのミルクから作られたバターと塩を入れて撹拌させた飲み物。

作り方から確かに「茶」ではありますが、日本人にとっては馴染みの薄い「塩っぱいお茶」 なので、イメージとしては茶というよりもスープといった感覚になります。

ブータンのアルコール類

ブータンには「アラ」、「シンチャン」といった地酒があります。

地酒といっても基本的には各家庭で作られているいわゆるドブロクで、味やアルコール度数は千差万別です。以前は市販されている量も限られていましたが、現在では土産物屋や商店などでボトル購入することができます。

「アラ」は主に東部でよく飲まれている蒸留酒で、米や麦を原料に作られているため日本の焼酎に非常に良く似ています。お祝いごとやお客をもてなす時などは、これに卵とバターを入れた「ゴンド・アラ」が出てくることもよくあります。卵でマイルドになるため飲みやすいですが、飲み過ぎには注意です。

もちろん、ビールやワイン、ウィスキーなども入手することが可能です。

特にビールはドゥク11000やレッドパンダ(レッサーパンダのラベルがかわいい)といった地元産もあるので一度試してみては。その他、国内ライセンス生産されているフォスターズ(Foster's)、インドで作られているヒットビアー(HIT Beer)や、タイやインドから輸入されているハイネケン、タイガーなどの各銘柄は大抵各地で入手可能です。

ウィスキー、ラム、ジン、ブランデーなどが政府主導で退役軍人のための産業として確立されているため、それぞれ国内産のものを入手することができます。

また、ブムタン地方では特産のリンゴを使ったワインやブランデーも生産されています。

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