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ブータンの言語について

ブータンの国語(公用語)は「ゾンカ語(Dzongkha)」で、チベット語の方言にあたる言葉です。

文字はチベット語と同じくチベット文字を使用し、表音文字となっています。

ティンプーのゾンカ語と英語の看板

ゾンカ語は唯一の公用語ではあるものの日常的に使われているのは実はティンブーやパロを中心とした西部地域のみで、地域によって違う24の言葉が使用されています。

元々共通語が無かったこの国では、70年代・80年代以降の近代化及びアイデンティティの強化の一環として最も話者の多かったゾンカ語が公用語に制定されたという経緯があるため、実際のところは日本語のように国中どこでも通じる共通語という存在はありません。
しいて言うならば、現代ではそれがゾンカ語にあたりますが場所によっては英語やネパール語、ヒンディー語のほうが通じるといったケースも多々あります。特に英語の国内における地位は高く、1949年までイギリスの保護領だった経緯もあり、公文書や法令、政府通達などは現在でもすべて英語で書かれています。

ゾンカ語自体にも課題は多く、元々が僧侶を中心に使用されていた古代チベット語を起源としているため語彙が少なく、現代の公用語として利用するためには大幅な語彙の追加と文法の改訂が必要だった為、そのための機関として「ゾンカ普及委員会 Dzongkha Development Commission」が設置されていて、今も新しい言葉が作り続けられています。

現在、ブータン国内の教育機関ではすべての授業が基本的に英語で行われていて、全てゾンカ語で行われる授業は「国語」の時間のみとなっています。
これにはいくつかの理由があり、まずは前述のようにゾンカ語の語彙の問題。もうひとつは、ゾンカ語による教科書と教員の不足が挙げられます。この解決策として、教育言語を英語にすることでインドや諸外国から教員を呼びやすくし、これによっておのずと学校数、そして授業を受けられる子供の増やすことに繋げています。
また、その結果英語教育を受けた若年層の海外留学、文献などの利用を容易にし、ひいては海外から戻ったブータン人によって国力を強化していくという目論見があるとも言われています。
一見、前述のゾンカ語普及政策と相反するように見えますが、実際は非常に理にかなった政策といえます。

一定の年齢層以上には英語教育が行われていなかったため英語の通用度はあまり高くありませんが、若年層(小学生も含む)は英語を使える人が多く、英語で日常会話ができる方ならばコミュニケーションはさほど不自由しません。また、近年では日常会話のゾンカ語の語彙不足を補うために英語の単語を混ぜて喋る人も多く、一部ではこれを「ゾングリッシュ Dzonglish」と呼んでいたりします。

ゾンカ語以外の主な言語としては、ブムタン地方の「ブムタンカ語」、東部一帯に話者が多い「ツァンラカ語(シャチョップラカ語)」などがあり、これらはすべてチベット語の方言にあたります。ネパール語・ヒンディー語は南部地域一帯で使われていますが、治安の悪化しているエリアでもあるためあまり普通の旅行では目にすることは少ないかもしれません。

写真上:ティンプー市内の立て看板。「ポイ捨て禁止!違反者は罰金」がゾンカ語と英語で併記されています。
このように、看板や標識はゾンカ語と英語で併記されていることが一般的です。

※ゾンカの「カ」が「言葉」を表す意味を持つため、厳密には「ゾン語」と表記すべきという説もありますが、ドラゴンツアーズではより一般的な呼称である「ゾンカ語」と表現しています